既に 20~30m を所有しマリンライフを愉しまれている諸氏には、世界の富裕層と同様にハイクラスのライフスタイルを満喫すべく、より大きなスーパーヨットが気になるところであろう。オーナーズヨットの理想像をある程度まで想い描く事ができ、潤沢な資金も整えば、カスタマイズの新造船という選択肢がある。しかし、まだそこまでは思い切れない場合は、サイズが大きく手頃な価格の中古スーパーヨットが最適だ。なぜなら、スチールやアルミなど金属製のカスタマイズスーパーヨットの強みである「リフィッティング」により、船はオーナーの嗜好に応じて驚くほど多様な変化を遂げうるからだ。
とは言え、何よりもまず中古船を選ぶ際にぶつかる壁は…
数多の中古情報の中で、実際どれが良いのか分からない。
そう悩まれる貴方をサポートするため、当サイトではイタリア現地事情に精通したスタッフが、その目で確かめ、特に状態の良いイタリア製中古船を、厳選して紹介していく。
今回(2020年11月現在)のお薦めは、勤務オフィスの窓から「ほら、あれだよ」と指差さす先に見えた、バリエット社の46m スーパーヨットである。
主なテクニカルデータ
ビルダー: | バリエット(イタリア) |
建造年: | 2015年/2019年 |
全長: | 46.3 m (151’11’’ ft) |
全幅: | 9.5 m (31’3’’ ft) |
喫水: | 2.95 m |
構造: | スチールハル、アルミ上部構造 |
デッキ数: | 4 (Lower, Main, Upper, Sun Deck) |
スピード: | 最大16.5 knot(クルージング12 knot) |
キャビン数: | ゲスト10〜12名(5室)、クルー9名(5室) |
1854年創業のバリエット社は、トスカーナ州とリグーリア州の境にあるラ・スペツィアに拠点を置く老舗ビルダーで、2012年にガヴィオグループに吸収合併された。同グループは2011年にイタリアのCCN(チェッリ造船所)、そしてアメリカを代表するスポーツフィッシャーのBertram(バートラム)も、イタリアのフェレッティグループから2015年に買収している。この三大ブランドを擁してガヴィオグループは、2017年フロリダ州マイアミのフォート・ローダーデールに本部を開設し、スーパーヨット販売の世界ランキングの常連として業界で確固たる地位を築き上げた。
ガヴィオの傘下でバリエットは、主に下記のスーパーヨットのラインを展開している。
- 全アルミ製で高速の35〜50m 級
- スチールハル+アルミ上部構造のゆっくりクルージングをする40〜65m 級
バリエットでは年間最多でも3、4隻と製造を制限する代わりに、その丁寧な仕事への定評は高く、アワード受賞やファイナリスト(最終選考)に至るスーパーヨットを多数輩出している。今回お薦めする46mもその例外ではない。実は、世界的権威のあるスーパーヨット雑誌を刊行する Boat International Media 社が毎年決定する World Superyacht Awardsにおいて、2016年に最終選考まで至った船なのだ。本船は2015年建造、世界の様々なボートショーでデビューを飾った後、しばらくビルダーで保管され、2019年に某オーナーへ引き渡された。分かりやすく換言すれば、
World Superyachct Awards で世界的に注目された「素晴らしく完成された船」であり、本格的な航海は2019年から
つまり ①修理、リフィッティングの必要がほとんど無い、②航行し機能も保証されている、③ほぼ新品 という三拍子揃った稀な好条件の船
という訳だ。機能に問題なく、保存状態も良いため、クライアントの嗜好に合わせた内装の微調整や大掛かりでない設備の追加リフィットだけであれば、新造船建造に比べ短期間でセミカスタマイズが可能だ。
ブローカーから本船の情報を受けてから、度々まだ売却決定していないか確認を取らないといけない程、マーケットでの関心度が高く見学者が絶えないスーパーヨットなのである。「建造から年数の経っていない、比較的新しいスーパーヨットは時々出てくるから」とスルーされる方も中にはいる。しかし本船は上述のように、デザインも性能も世界トップレベルと周知されている点が、大きく異なるのだ。
そこで試しにネットで検索してみると、公開されている本船のセールスポイントから何故か、厳しい審査のあるWorld Superyachct Awardsのファイナリストという部分が抜け落ちている情報が多かった。客観的にこれは販売促進の大きなミスと分析できるのだが、一方で当サイトを閲覧する貴方にとっては幸運をもたらしている…
洗練されたデザイン、空間構成を実地で体感し、前向きに購入検討すべきスーパーヨットとして、当サイトスタッフは熱く推薦する。